MEMOS

ちょっと書き留めたかったことなど。

『夏のぜんハリ アチチチセーラーPLAY in 東武百貨店池袋店』

ZEN THE HOLLYWOOD(ぜんハリ)
6/27 12:00-
@東武百貨店池袋店

 「夏のぜんハリ アチチチセーラーPLAY」の初日、そして、井上くんの卒業の日。

 この日の一週間ほど前から、この日の天気は雨と予報されていた。しかし、前日になって、雨のち曇りに予報は変わった。当日の朝はまだ雨が降っていて、雲は厚く、イベントの開催時までに上がるかどうか、というところだった。

 10時に会場の東武池袋百貨店のスカイデッキ広場に行ったときには、既に雨は上がっていたものの、いつまた雨が降りだしてもおかしくない空と湿った空気が広がっていた。それでも、天気は最後まで持ちこたえた。

 9時前に東武百貨店の待機場所に着いたときには、若干の列が形成されていた。10時の開店と同時に、スカイデッキ広場に上がり、CDの予約が開始。ほどなくして、会場にはぜんハリの曲が流れ始める。

 井上くんの卒業が発表されてから、私はぜんハリの曲を聴くことができなかった。数日ぶりではあったけれど、この数ヶ月は毎日のように聴いてきたので、ずいぶん久しぶりに聴く気がした。気持ちの整理はできていると思っていたのに、「赤い箱のクラッカー ~let's party~」のイントロが流れたとき、「いつか遠い未来 一緒に開けたいな 赤い箱に詰めこまれた 宝物」という言葉がふっと頭をよぎり、そこに差し掛かったときには嗚咽を漏らすありさまだった。

 10時40分、リハーサル開始。屋上に足を踏み入れ、ステージの袖へと歩いていく井上くんは俯き加減で、その表情を伺うことはできなかった。ジャージ姿もこれで見納めである。ステージにメンバーが登場。さきほどまで雨が降っていたので、ステージを雑巾で拭き始める。床を拭く井上くんの表情は少し硬く、顔を上げて客席を正面から見ることができない、という様子だった。緊張というよりは、どんな顔をすべきか分からず、地に足が着いていないという顔をしていた。けれども、阿部くんと笠井くんと会話をして、面白いことがあったのか、大きく口を開けて笑ったとき、なにかを取り戻したようだった。

 リハーサルに使った曲は「バージン・マジック」。ステージに近い前方は優先観覧エリアとして区切られていたので、仕切りの後ろギリギリで見守った。1番を歌い終え、位置等の確認をしながら、井上くんは皇坂くんの隣に立ち、遠くを見渡した。やや憔悴している様子が伺えた卒業発表の動画に比べると、顔は丸みを帯びていて、血色も良かった。それだけでなく、その表情は、驚くほど晴れやかで、スッキリしていた。こんな彼を見るのは久しぶり、いや初めてかもしれない。その姿からは、卒業に対する迷いや、将来に対する不安など、微塵も感じられなかった。決然と、彼はアイドルとしての自分を脱ぎ捨てようとしていた。

 その力強い姿を見ていたら、私の心から、動揺や悲しみや寂しさは、綺麗に一掃された。つい数日前まで、夏のツアーに、そして9月のパシフィコ横浜に彼が立つ姿を想像していたはずなのに、その想像は霧散した。私は彼の卒業を心から祝福しようと思った。これ以降、彼が卒業して1週間が経過しようとしている今日まで、私は一滴も涙を流していない。

 セットリストは、以下。基本的に井上くんしか見ようとしていません。やや後方だったので、全体的に視界には入っているけれども。

1. overture
2. バージン・マジック
3. 永遠never ever(井上くんセンター)
4. ハート全僕宣言!

 前から7,8列目くらい、やや上手寄り。「バージン・マジック」の「撃ちぬけ 狙い定め 迷いを捨てろ」で井上くんが真正面にくるあたり。

 overtureが流れ始めた瞬間、これが最後と腹を括った。悔いがないようにしよう、と。

「バージン・マジック」は、全体で見れば不安定な箇所もあったけれども、今まで見たなかでは最も落ち着いていた。ばたばたした印象はなくなった。しかし、夏にピザ屋さんで出逢った女の子に、どうしようもなく恋をしちゃった男の子の歌にしては、歌が硬い。

 井上くんを、先述した「撃ちぬけ~」のあたりで、しっかり真正面から見られたので満足です。

 自己紹介時のMCは、井上くんの卒業に触れることなく、「アチチチセーラーPLAY」の初日ということで、コール&レスポンスが行われた。

 その後、続けて2曲。「永遠never ever」は、もちろん頭サビは井上くん。目を細めて、丁寧に歌い出す。ソロとユニゾンのあいだで集中力が途切れることなく、しっかり自分に入り込んでから、メンバーの輪を出て一歩踏み出して、内に溜めたエネルギーを外に向かって放ち、客席をぐるりと見渡して、巻き込んでいく。

 この頭サビに関しては、自分に入り込むかどうか、入るとしてソロパートだけ入り込むか、ユニゾンに入っても入ったままでいるか、輪から一歩踏み出したときにどこまで爆発させるか、いろいろやり方がある。誰がセンターに立つかによっても違うし、そのときの状態によっても違う。

 この日の井上くんは、しっかりと入り込んでから、ステージの前に大きく、勢いよく踏み出した。彼の最後のイベント、そして屋外のステージに似合った、最高のステージングだった。

 そこからは、最高のいつも通り。

 曲の最後、「never ever forever」は、本来は1回目が終わったところで阿部くんが客席に呼びかけることになっているのだけれども、2回目のところで井上くんが「みんな一緒に歌おう!」と叫んだ。最近のステージでは、阿部くんが呼びかけないことが多い。一方で、客席は言いたい気配を放っている。その狭間で、井上くんは度々、「言わないのかな?なんなら自分が言おうかな?」と様子を伺うことがあった。この日、ここでステージ上の様子を伺うことなく、躊躇わずに呼びかけたのは、素晴らしい判断。今回に限らず、この曲の頭サビセンターは、ここまでやるのが務めだなぁと思った。

「ハート全僕宣言!」は、井上くんのダンスのひとつひとつが丁寧で、万感の想いを感じた。けれども、ずしりと重い感傷はなく、それを振りほどいていくような軽やかさがあった。魔法が解けていくというよりは、浄化されていくような印象を受けた。このときの感覚は、とても不思議な感覚だった。

 曲が終わって、メンバーから井上くんへの一言。そして、井上くんから卒業にあたっての言葉が述べられた。自らの夢に向かっての、前向きな卒業であることが強調されていた。卒業発表の動画とは、ずいぶんと様子が違った。アイドルというのは、こんなに力強く、自ら幕を引くものなのか。

 個人的には、イベントの前日に書いた手紙が、このときの彼の言葉に対する返答になっていたことに驚いた。自分が伝えたいことよりも、彼が言ってほしい言葉を書こうと、散々考え尽くした末に書いた手紙だったので、素直に嬉しかった。今まで手紙も書かなかったし、特典会にも滅多に行かない不真面目なファンだったけれども、最後の最後で、けっこう良いファンだったかもしれない。

 このMCの合間に、ふと井上くんは視線を空に向けた。そのとき、ふわっと心が軽くなって、幸せな気持ちになった。このときの落ち着きがあまりにも印象的で、この1週間、何度も私はこのときの表情を思い出している。

 イベントが終わってから、特典会。接近は苦手なので敬遠していたのだけれども、初めてぜんハリタッチに行ってみた。グルショ×3回、2ショ×3回。私は井上くんがくしゃくしゃに笑う顔が好きなので、タッチのときにくしゃくしゃに笑っているのを間近で見られてとても嬉しかった。私が正面に移動する前に、井上くんから手を伸ばしてくれたの、気のせいじゃないと思う、それくらいの勘違いしてもいいよね。笑。グルショも2ショも、この日は御祝儀状態で、特典会だけで2時間半近くやっていた。不意にちょっと疲れた表情を見せつつも、最後まで丁寧に対応している姿に感服しました。撮影会の終盤にちょっと時間が空いたとき、BGMで流れていたバーマジを歌っていたら、目が合ったときに一緒に歌ってくれた。ありがとう。ステージの上から最後にハッキリと分かる形でいただいたファンサービス、一生忘れません。

 アニメ「少年ハリウッド」が白眉なのは、ステージを下りた「初代少年ハリウッド」を描いた点にあると思う。芸能界に残る者、芸能界の裏方にいく者、芸能界を去る者。その道は様々だけれども、彼らがアイドルだった事実は永遠に残り続ける。ランはケーキ作りにアイドルとしてステージに立つことに似た輝きを見出す。トミーは、自分が誰かにとってアイドルであり続ける限り、自分はアイドルなのかもしれない、と呟く。ステージを下りたとしても、その人がアイドルであった事実、そして、そのときに放った輝きは失われることはない。それはきっと、ぜんハリについても一緒だと思うし、そうであってほしいと思っている。

自由 それさえ空に放て
Hello そして Good-bye 繰り返し
ゼロに立ち続ける覚悟 決めた者だけが
行ける場所を信じて

「Never Ever Zero」、これこそが「ZEN THE HOLLYWOODシップ」。卒業の最後の瞬間に至るまで、ゼロに立ち続ける覚悟を見せてくれた彼は、最高にアイドルだった。今まで見たなかで、一番かっこよくて、鮮烈な輝きを放っていた。

 おかしいな、気が付いたら、リアコに限りなく近くなっているかもしれない。卒業式の日になって、初めて恋心に気がつく青春漫画のような展開。その余韻が、まだ残っている。

 もっと早くにアップしようと思っていたのに、井上くんが出ているイベントの感想を書くのもこれが最後かと思ったら名残惜しくて、この1週間、書いたり消したりを繰り返していた。このイベントに関してはここで筆を置くけれども、また思い出したように、彼についてというよりは、彼を追いかけたことで私が学んだことについて、書くかもしれない。