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MEMOS

ちょっと書き留めたかったことなど。

劇団たいしゅう小説家 PRESENT'S 『草葉の陰でネタを書く。』

@あうるすぽっと
2/6 マチネ

 ZEN THE HOLLYWOOD(ぜんハリ)でいつもお世話になっている深澤大河くんが御出演されているということで。

 あらすじとかは割愛で感想だけ。ネタバレ全開っていうか、見た人にしか分からないし、それでいいやっていうスタンスで書きます。

 小技の効いた脚本だなと思った。

 お笑いコンビ川中島の2人が前座として登場して、漫才を披露。

 作中の小ネタがいろいろ効いている。2人のラジオ収録の場面の映像のお題は、「こんな葬式は嫌だ」。ハガキ職人の近藤、ハワイで葬式、ラジカセを担いだお坊さん、稲川淳二といった伏線がここで張られて、最後の最後で効いてくる。ハガキ職人の近藤は葬儀屋として登場。中島が出演している(そしてじきに出演契約の切られる)通販番組の商品を使っている。電子機器を通せば、霊になって登場する川名と会話ができたり見えたりするらしく、その商品が大活躍。……みたいな感じで、細かいところでテクニカルに気を遣っているのが伝わってきた。ちょっと「草場」って言いすぎな気もした。

 一方で、本筋のところで隙があってもったいない。終盤でテレビのプロデューサーの松村さんが、お笑いコンビって最初は仲良くても、しまいには顔を見るのも嫌になっちゃうんだよね、みたいなことを言う台詞。どうしてあそこで「お笑いコンビ」って限定しちゃったのかなぁ。一気に作品の射程が狭くなってしまった気がする。ただ、そこで「人間って」とか「友達って」とか言うと押しつけがましくなるので、いかにしてあの台詞を言わずにあれを伝えるかが、ホロリとするコメディにおける劇作家の腕の見せ所なのでは。逃げ方としては最も安易で、あ~やっちゃった~~って瞬間的に思ってしまった……。

 いや、言ってもいいんだ。というか、ひょっとしたら、最も難度の高い解決法は、あの登場人物の人間関係のひとつひとつをもっと深く掘り起こしたうえで、松村さんに「お笑いコンビは~」ってあえて言わせつつ、観客に、いやそれってお笑いコンビだけじゃなくて、舞台上で描かれている人間関係のすべてに対して言えることだし、それって自分についても言えることだなって思わせることかもしれない。

 そういう面では、後輩コンビを活かしきれていないのはもったいなかった。あの2人は、松村さんの言う、お互いの一挙手一投足が腹立たしいという域には、たぶんまだ達していない。お笑いコンビは、全然違うタイプの2人がやるからこそ面白いっていうのが、後輩コンビには反映されていない。あの2人の関係性をもっと書き込めば、強度が増したように思う。

 肩の凝らない芝居で、たぶん面白いんだろう。なんだか曖昧な言い方になってしまって申し訳ないのだが、たぶん私はターゲットになっていない芝居だと思うので。笑。思い返せば、シェイクスピアとかF/Tとかで行くことが多くて、あうるすぽっとでタイアップじゃない公演を初めて見た。だからチケ代が……。次にここに行くのは河合祥一朗の企画物かなぁ。そういえば、先日発表された読売演劇大賞の最優秀作品賞の評を河合先生が書いていた。あれってどうやって決めるんだろう。仁左衛門のは言及されているうちの2作品は私も見ている。たしかに、こういうの求めて芝居見てるんだよなーっていう快感があって納得。あれ審査員みんなが毎月歌舞伎座やら国立劇場やらに通い詰めてるとも思えないんだけど、どうやって話し合うんだろう。小説だったら、みんなで候補作を読めばいいけど、演劇はそうもいかなくて、そこがいいところだな。